「2021年野球書店大賞」決定!

2021年野球書店大賞の発表画像

忖度なし! 「野球書店」店主が2021年に読んだ野球本の中で一番面白かった一冊を勝手に選定!大賞1作、次点4作を勝手に発表いたします! 今年は大賞が2作品あります!

【大賞受賞作】

「遺言 野村克也が最期の1年に語ったこと」

(飯田絵美/文藝春秋)

野村克也の本は嫌というほど多く出版されています。正直「またか……」という印象が拭えません。この本も当初はそう思いました。しかしこの本は「野村克也の最期の1年を追ったノンフィクション」という、これまでの野村克也の本とは一線を画す内容でした。

「自分なんか人望がない」「俺は人を残すことができたのだろうか」

サッチーに先立たれ、生きる気力も意味も見失いそうな老将はそんな自問を繰り返します。そんな老将をかつての番記者、愛弟子たちが励まし続け、生きる希望を与え続けました。金田正一氏の葬儀の舞台裏で互いに車椅子姿になった長嶋茂雄と手を握り励まし合う描写には涙がこぼれました。
長嶋ジャイアンツ、野村スワローズの戦いに胸を躍らせた世代のプロ野球ファンにぜひ読んでいただきたい一冊です。
「野村克也の本」として埋もれさせるにはあまりにももったいない、2021年の大賞に相応しい作品です。

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「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」

(鈴木忠平/文藝春秋)

開幕投手・川崎憲次郎に始まり、チームの顔である立浪和義のレギュラー剥奪、山井の完全試合目前の交代、アライバのポジションシャッフルなど、その選手起用はチーム内外の波紋もよんだ落合野球。ファンにも選手にも多くの疑問を残した8年間の監督時代。退任後10年の時が経ち、今ようやく分かるその答え。
「木」を見ていても理解できなかっ選手起用、采配も、こうして一冊の本になり「森」として見ることで、「なるほど落合のやってきたことには一本筋が通っていたんだな」と理解することができます。
情があったが故に2004年の日本シリーズで敗れてしまった。勝つためにはその情を排除しなければならない。それを最後まで完遂した落合にプロフェッショナルの姿を見た思いがしました。
店主は天邪鬼ゆえ、この一冊を敢えて大賞から外してしまおうかとも考えましたが無理でした。なぜなら圧倒的に面白いから。これを読まずして年は越せません。

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【次点作品】

「プロ野球『経営』全史 球団オーナー55社の興亡」

(中川右介/日本実業出版社)

例えば、ヤクルト球団の歴史を遡ってみる。すると共産党と陸軍の人脈リレーによって誕生したことが分かります。名物オーナー松園氏もヤクルトを創業したわけではないということも分かる。ちなみにヤクルトの創業者は店主と同じく大分の出身の永松氏ということまで分かる。
知らなくても別に困らないけれど、知っていると誰かに話したくなる小ネタ、トリビアが満載。これが12球団分全てオールタイムで網羅されているのですから、これはもうプロ野球版『ファミリーヒストリー(NHK)』です。
鉄道、新聞、映画、食品、そしていまITへー。
プロ野球勃興時からの親会社の変遷をマクロ的にも、ミクロ的にも見ていくことが出来る。プロ野球を別の切り口、視点から楽しむことができる一冊です。

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「沢村栄治 裏切られたエース」

(太田俊明/文藝春秋)

「沢村賞」は知っていても、沢村栄治がどんな選手でどんな人生を過ごしたかを語れるプロ野球選手、ファンはほとんどいないのではないでしょうか?
プロ野球”第1世代”のスーパースターは現代のスーパースター大谷翔平と同じ27歳で戦死しました。
普通の若者と同じように恋をして、家庭も持った沢村にもやがて娘が生まれます。しかし、そのわずか三ヶ月後に二度とは戻ってこない、三度目の戦地へ赴くことになるのでした。
なんて酷い時代だったのでしょうか。戦争とはなんと惨いものなのでしょうか。
毎年100名ほどの新人選手がプロ野球の世界に足を踏み入れますが、この本を全員に読んで欲しいなと思った一冊です。

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「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」

(喜瀬雅則/光文社)

短期間での成果を求める親会社の企業体質ゆえ、近視眼的なチーム作りを繰り返し、そして長きにわたって低迷してきたオリックスバファローズ。しかし、球団編成のトップに立った加藤と球団本部長に就いた瀬戸山が5年先を見据えたチームを作り、そこに中嶋聡という優秀な指揮官が掛け合わされたことで、四半世紀ぶりの優勝という果実を手にすることができたのでした。今年の優勝が偶然ではなく必然だったことがよく分かりました。
しかし、その「近視眼的なチーム作り」ゆえ、成果を見届けることなくオリックスは加藤と瀬戸山をすでに球団から追い出してしまっています。次の優勝がまた四半世紀後とならないように、二人が残した遺産を大事にして欲しいと願わずにいられません。オリックスファン以外が読んでも楽しめる一冊です。

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