【書評】「プロ野球『経営』全史 球団オーナー55社の興亡」(中川右介/日本実業出版社)

プロ野球「経営」全史の表紙

プロ野球を通じて学ぶ「近代日本経済史」、
というかもうプロ野球版『ファミリーヒストリー』!

小さい頃、テレビの野球中継を見ながら思いませんでしたか?
「なんでヤクルトvs巨人の中継、フジテレビが多いんだろ?」

それはヤクルト球団の資本にフジサンケイグループの資本が入っているから。
大人になってから、なんとなくそんなことが分かりました。

ではなぜフジサンケイグループの資本が入っているのでしょうか?
そこからどういう経緯で親会社がヤクルトに代わったのでしょうか?

そこまで深く考えたことはありませんでした。
(そもそも自分、中日ファンだしな……)

しかし、この本を読めば全て分かります。
そればかりでなく、
フジサンケイグループがニッポン放送、文化放送と2つのラジオ局を持っている理由。
神宮球場が本拠地になった理由。
産経新聞の成り立ち。
ヤクルトは故松園オーナーが作った会社ではなかった。

そんな、知らなくても困らないけれど、知っていると誰かに話したくなる小ネタ、トリビアも満載でした。
そして、ヤクルト球団の歴史を遡っていくと実は共産党と陸軍の人脈リレーによって誕生したことまで分かるという、これはもうプロ野球版『ファミリーヒストリー(NHK)』です。

もちろんヤクルトだけでなく現在の12球団の成り立ち、親会社の変遷もまとめられています。
鉄道、新聞、映画、食品、そしていまITへー。
プロ野球勃興時からの親会社の変遷をマクロ的にも、ミクロ的にも見ていくことが出来ます。

ちなみにこの本を楽しむためにはちょっとしたテクニックが必要になります。それは後ろのページから読み始めること。というのも、全14章で構成されているこの本では、第1章は明治期に野球が鉄道と同じ年に日本に持ち込まれたという歴史から始まります。これは日本史で古代人の生活や縄文土器の話をされているようなもの。そこに大河ドラマでおなじみの戦国武将は出てきませんし、明治維新のようなドラマティックな展開もありませあん。すこし読んでいて苦しいページが続きます…..。最初から読んでいたら途中で挫折していたかもしれません。
ですので、DeNAの球団買収やホリエモンや三木谷さんが登場するページの後ろから逆再生するように読んだ方がこの本を楽しむことができると思います。

450Pにも及ぶプロ野球の経営史、膨大な数の参考文献、ここまで編纂された著者の中川右介氏には頭が下がります。プロ野球の親会社の歴史を調べるにはこの一冊があればもう十分な気がします。さらに本書に出てくる企業はもちろん、出来事、事件を検索しながら読むと、プロ野球を通じて学ぶ「近代日本経済史」としても楽しことが出来る一冊です。

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