「2019年野球書店大賞」決定!

忖度なし! 「野球書店」店主が2019年に読んだ野球本の中で一番面白かった一冊を勝手に選定!
大賞1作、次点4作を勝手に発表いたします!

大賞受賞作

下克上球児

(著者:菊地高弘/出版社:カンゼン/価格:1620円)

2時間に1本しか電車の来ない、三重県の過疎地にある偏差値の低い底辺校。野球部は10年連続地方大会初戦敗退の弱小チーム。そんな高校の野球部が、まさかの甲子園初出場を果たし、過疎化地域の誇りに変わるまでを描いた、嘘のような、本当の話を描いた作品。
映画化はもちろん、ドラマ化、漫画化の話が聞こえてこないのが不思議なくらいの、2019年に読んだ野球本で一番面白かった作品。
高校野球を変に美化せず、変に重厚なノンフィクションとせず、笑えて泣ける軽妙洒脱な内容に仕上げた、菊地高弘氏の「菊地節」に唸る、文句なしの2019年野球本大賞作品です。

副賞:FB広告出稿(野球書店が自腹で年末年始、FBに広告を出稿してこの本を宣伝します)

次点作品

不登校からメジャーへ 〜イチローを超えかけた男〜

(著者:喜瀬雅則/出版社:光文社新書/価格:1100円)

今風に言えば「消えた天才」とでもいうのでしょうか? 
ネットもスマホもなかった90年代前半。英語も喋れない野球少年が高校をドロップアウトして単身渡米。その後の紆余曲折を経て、イチローより一足早くあわや日本人初のメジャーリーガーになりかけた男の半生を振り返った作品。
・高校時代につまずいたぐらいで人生終わりじゃない。
・周りの意見は関係ない。自分がどう思うか。
・行動すれば道は開ける。
そんな示唆に溢れた、今不登校になっている子、そんな子に悩む親にぜひ読んで欲しいです。

1988年のパ・リーグ

(著者:山室寛之/出版社:新潮社/価格:1674円)

「福岡に再びプロ野球球団を!」そんな思いに駆られた福岡の有志たちと、球団を手放したい企業と球団を買いたい企業との交渉、駆け引き。その舞台裏を存命している関係者達の「いまだから話せる」証言を丁寧に積み重ねたノンフィクション作品。
テレビ番組に例えれば、
「プロジェクトX〜球団を買え!阪急・南海・ロッテ・ダイエー、男たちの奔走の記録〜」「ガイアの夜明け 特別編〜福岡に球団を持ってきた男たち〜」
といった感じの内容。店主はこの本を読んで「福岡のソフトバンクファンは稲尾和久に感謝しろ!」と言いたい気持ちになりました。

一徹 智辯和歌山 高嶋仁 甲子園最多勝監督の葛藤と決断

(著者:谷上史朗/出版社:インプレス/価格:1944円・Kindle:1847円)

「1988年のパ・リーグ」が「プロジェクトX」や「ガイアの夜明け」的な先品ならば、「一徹」はドキュメンタリー映像として映画館で見たかった作品です。
高嶋さんには、練習は365日休みなし! 試合前にダッシュ100本! 指導に体罰は必要! のような、オールドタイプの高校野球指導者というイメージが強かったのですが、本作を読むとそのまんまなんだということが分かりました(笑)。しかし、それがどこか憎めない、どこか納得してしまう説得力を持ち合わせた方のようにも思えました。それは、他の誰よりも自分に対してストイックなのだからだと思います。
谷上史郎氏の濃密な密着取材のおかげで、今まで一面的にしか知ることのできなかった甲子園優勝を義務づけられた監督を、立体的に知ることができました。

虹色球団 日拓ホームフライヤーズの10カ月

(著者:長谷川晶一/出版社:柏書房/価格:1944円)

今年ユニフォームを脱いだイチローが生まれた年である1973年、パ・リーグに「日拓フライヤーズ」という球団がありました。ただし、存在したのは1シーズンだけ。
店主は日拓フライヤーズをリアルタイムで見たことはありません。子どもの頃に読みふけった選手名鑑にたまに出てくる「昔あった球団」くらいの認知度でした。ですから、10ヶ月でチームが消滅してしまったことや七色のユニフォームを採用していたことはもちろん、どういったいきさつで球団を買収し、何がどうなって1年足らず球団を売却してしまったのかなど、今回初めて知ることができました。
子どもながらに「張本も大杉も凄いバッターだった(らしい)のになんでトレードに出されたのか?」ずっと疑問だったのですが、本書を読んでその経緯、原因もよく分かりました。 「ファンがプロ野球の歴史を語り継ぐ」という上でも、こういった本の存在はとても大切だと思います。

来年も面白い野球本が沢山出版されますように!

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