早くも第二弾が待ち遠しい! 宮本慎也、頑張れ!
昨年発売された『証言 イチロー』(宝島社)がとても面白く、密かに野村克也版、仰木彬版、星野仙一版、野茂英雄版なども発売されないかなと期待していので、発売当日に迷わず購入しました。
古田敦也、宮本慎也、山崎武司、高津臣吾、稲葉篤紀、伊藤智仁、遠山奨志、赤星憲広、江本孟紀など、証言しているラインナップを眺めると、あまり目新しさを感じないのですが、
「『顔と名前を売るために、バラエティ番組にも出なさい』と推奨され、ある日、番組出演後に監督室に呼ばれたところ『お前の話は内容がない』と野球ではなく、トークにダメ出しされた」
「『あとでカツノリからもらえばいい』とミーティングで4年間全くノートを取らなかった」
などと証言する古田と山崎はトークスキルが高いだけあってさすがに証言も面白いです。方々で散々ノムさんのネタを話しまくっているのによくネタが尽きないなと感心してしまいます。
そんな中で、店主が今回一番面白く読ませてもらったのは宮本の章でした。
宮本は入団2年目に骨折を押して出場したことを「根性あるやないか」と褒められて以降、引退後まで一度も褒められなかったそうです。ノムさん流の人身掌握術に『三流は無視、二流は称讃、一流は非難』というのがありますが、2年目にして早くも二流に昇格し、その後はずっと一流扱いだったということなのでしょう。さすがPL、同志社、プリンスホテルと歩んだ野球エリートです。
そんな宮本は昨年、チームが最下位になった責任を取ってヤクルトのヘッドコーチを辞任していますが、うまくいかなかった原因について「自分の厳しさ」を挙げています。
そういえばノムさんは著書『野村克也からの手紙』(ベースボールマガジン社)の中で、
教え子の中で「唯一、将来監督になるだろうと想像できるのが宮本」であるとその資質を高く評価しながらも、「厳しいことでも直球で言葉にする」「相手が傷ついているのに気がつかない」と性格の問題点を厳しく指摘して言いましたが、残念ながらノムさんの懸念が的中する形になってしまいました。
それにしてもノムさんの人を見る目がさすがすぎますね…
そんな宮本は現在、
「『全てを許せる人』になりたい」
「今は稲盛和夫の本を読んでいる」
などと語っており、もう本の趣旨である「ノムさんの証言」というより「中間管理職の苦労」を吐露という感じになっていました。
宮本が『全てを許せる人』になってユニフォームを再び着る日が楽しみです。
今回の「証言」には、江夏豊、小早川毅彦、吉井理人、石井一久、桧山進次郎など、この人たちだったらどんな証言をするのか気になる人たちの名前がありませんでした。3チームで名捕手を育てのですから古田だけではなく、矢野燿大、嶋基宏の証言も聞きたいところです。シダックス時代の教え子である坂田精二郎(立正大学監督)のアマチュア側からの証言も聞いてみたいです(坂田さんも捕手出身だし)。
また、ノムさんは一面だけで語られる人物でもないと思うので、ノムさんを公然と批判していた元ヤクルトスカウトの片岡宏雄氏や折り合いが悪かった(と思われてる)今岡誠などの「多分、ノムさんのこと好きではない人たち」の証言も聞いてみたいです。
なので宝島社さん、第二弾をお願いいたいます。なんだったら校閲など無償でお手伝いしますので。
(古田 敦也, 宮本 慎也, 山﨑 武司, 赤星 憲広ほか (著) /宝島社/1430円)
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