「2022年野球書店大賞」決定!

毎年恒例!
野球書店店主が2022年に読んだ野球本の中で一番面白かった一冊を勝手に選定!
大賞1作、次点4作を勝手に発表いたします!
忖度なし!

【大賞受賞作】

「砂まみれの名将 野村克也の1140日」

(新潮社/加藤弘士)

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前年の野球書店大賞作『遺言』(飯田絵美/文藝春秋)に続く、野村克也を題材にした作品の受賞。
『遺言』ではプロ野球選手、監督として裕福になったあとも、極貧時代を忘れず、そして母との約束を守り続けた野村克也のピュアさが描かれていましたが、本作では野村克也の「野球」に対してのピュアさが描かれていました。
全身ヴェルサーチに身を包み、高級時計をつけながらも、野球が好き、監督業が好きな野村克也。そんな監督から薫陶を受けたシダックス時代の教え子たちが今、高校野球、大学野球の監督として野村イズムを引き継いでいます。
「ワシは人を残したのか?」
『遺言』の中でも記されていた母との約束を、野村克也はアマチュア野球、シダックスでも守っていたのです。
本作を2022年の野球大賞本に決定いたします。

【次点作品】

「SHOーTIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男」

(ジェフ・フレッチャー/徳間書店)

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内容の大半はすでにどこかで見た、聞いた、知っている内容。それでもエンゼルスの番記者ならではの見方や考察、アメリカ側から見た大谷翔平を知ることができます。また、昨年、今年と大谷翔平の残した偉業のインパクトが強すぎて、2019、20年の怪我、不調、苦悩など、すっかり忘れていたことを思い出し、改めて大谷翔平の凄さを思い返すことができました。
惜しむらくは、この本が2021年に書かれたため、投打で規定回数到達という離れ業をやってのけた2022年のことが描かれていないということ。
頭が麻痺して大谷翔平の凄さがよく分からなくなっている人は読みましょう。

「キヨハラに会いたくて 限りなく透明に近いライオンズブルー」

(中溝康隆/白夜書房)

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「ボクたちはみんな大人になれなかった」「花束みたいな恋をした」などに代表されるように、80年代〜90年代を中心に自分が最も輝いていた時代を思い返す映画、小説を昨今多く目にします。そんな流れにも乗った野球本が本作です。
重厚なノンフィクション作ではなく、軽妙洒脱な軽いタッチで清原和博が「番長」ではなく、まだ可愛さも残っていた「キヨマー」時代を、当時の流行や世相、著者の小学生時代を重ねながら振り返っています。
店主も清原和博がいつか王貞治のホームラン記録を破る日が来ると信じて疑わなかった小学生の1人でした。
「コロコロコミック」を読み、「ドラゴンクエスト」に熱中し、清原和博に夢を見た、あの頃の小学生たちに勝手に捧げたい作品です。

「証言 落合博満 オレ流を貫いた『孤高の監督』の真実」

(山本 昌 (著), 和田 一浩 (著), 岩瀬 仁紀 (著), 川上 憲伸 (著)ほか/宝島社)

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昨年、大ヒットし『遺言』と共に野球書店大賞を受賞した『嫌われた監督』(鈴木忠平/文藝春秋)の、選手側からのアンサー本という感じの一冊。
主力選手ばかりではなく、河原純一や岡本真也はもちろん、高代延博、石嶺和彦ら、脇役、コーチの証言があるのも、多面的に落合博満を知ることができて面白いです。
ただ証言が落合肯定派に偏っている感も否めず、確執も伝えられていた立浪和義、谷繁元信、井端弘和などの「証言」も聞けると、より多面的、立体的に謎多き生態・落合博満を知ることができたのにな、という印象も残りました。
この本、面白いのになぜハードカバーで出版していないのかだけが謎です。

「導く力 自走する集団作り」

(長尾健司・高松商業野球部監督/竹書房)

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伝統校高松商業を長い低迷から劇的にV字回復させた長尾健二監督の著書。この類いの本は、野球指導者が指導論を学ぶノウハウ本的な側面が強いものですが、本作はのっけから新任の中学教員時代に生徒が教室で自殺未遂を図り、保護者から「二度と教壇に立つな!」と罵声を浴びせられた、長尾監督の苦い経験から始まります。その構成が自伝小説を読んでいる錯覚に陥らせ、野球指導者でなくてもページをめくる手が止まらない面白さに繋がっていると思います。また、全編を通して野球部の監督以前に1人の教育者としての長尾監督の姿勢が描かれており、そこに共感する部分も多かったです。
触れられたくない部分、話したくない部分を話している本は読むものを惹きつける、そんなことを再認識した一冊です。

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