50名の当事者達が振り返る「至高の日本シリーズ」

ガンジーもびっくりの無抵抗な内容でソフトバンクとの日本シリーズに完敗した読売ジャイアンツ。日本シリーズを見始めて40年近くになりますが、2年続けて同じ相手にスイープされるなんて記憶にありません。あまりにも不甲斐なさすぎるので生まれて初めてジャイアンツを応援(同情?)してしまいました。

最近の日本シリーズ、面白いですか?
実にあっさり、淡白と日本一が決まっていませんか?
語り継がれるようなプレーがありますか?

ここ7年間は最終戦の第7戦までもつれこんだケースすらありません。
かつてはセとパの王者ががっぷり四つに組み、毎年のように名勝負を繰り広げていた日本シリーズも2000年代以降は名シーン、名場面すら思い浮かびません。
中日ファンの店主ですら落合政権下で出場した5度の日本シリーズで思い出されるシーンといえば山井ー岩瀬の完全試合リレーで2度目の日本一を達成したシーンくらいのものです(あとは現地観戦した2004年に岡本がカブレラに満塁ホームラン打たれたことくらいかな…)

店主は「最近の日本シリーズ、つまんねぇな」と思っています。
でも心のどこかでは「日本シリーズはもっと面白いはずなんだ!」と思いたい自分もいたりします。

面白かった日本シリーズの記憶ー

それを辿っていくと店主高校生時代の忘れられない対戦にたどり着きます。92年、93年に2年連続で対戦したヤクルトvs西武の日本シリーズです。

92年の第1戦ー
森祇晶と野村克也という稀代の名将が知力の限りを尽くした戦いは、代打杉浦亨のサヨナラ満塁ホームランで幕を開けました。

この本『詰むや、詰ざるや』では両チーム総勢50名に話しを聞き、2年間の全14戦を振り返っています。
93年第4戦の池山隆寛の犠牲フライ、第6戦では八重樫幸雄のレフトライナーに飛び出した三塁走者広澤克実の動きを見て「ヤクルトは強くなっている」と敵将森が戦慄を覚えたと語っています。
ベンチの指示を無視してポジションを変え、一世一代のバックホームでチームを救った飯田哲也。同じくベンチのサインを無視した「ギャンブルスタート」で日本一をたぐり寄せた古田敦也。
野村克也はこれらのプレーを振り返り、
「監督が何も言わなくても、選手達が勝手に動く。そりゃあ、強いですよ」と振り返っています。

野球ってこんなに奥が深いのか!
日本シリーズってこんなにレベルの高い攻防をしているのか!

四半世紀の時を超えて目からうろこの連続です。
「これが日本シリーズなんだよ!」
そんなことを大声で叫びたい衝動に駆られます。

話しを聞いている50名にはデストラーデ、ハウエルも含まれています。当時の主砲助っ人二人にまで話しを聞いている、著者の長谷川晶一さんの執念を感じます。この執念、巨人にも見習って欲しいところです。

つい先週までテレビで放送されていた日本シリーズよりも、四半世紀も前の日本シリーズを活字で読んでる方が面白い。
日本のプロ野球は大丈夫なんだろうか…
そんなことを感じた一冊です。

長谷川晶一
インプレス
2200円


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