■店主のオススメ(1)
「激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち」
店主の感想
この本を読んでまず頭に浮かんだ言葉。
「そこまでするのか神奈川県!そこまでしないと甲子園に行けないのか神奈川県!」
東京都民から川崎市民となって早3年。
我ながら恐ろしい県に引っ越してきてしまったもんだと軽く後悔…
(息子は果たして甲子園に行けるだろうか…まだ1歳8ケ月だけど)
以前、甲子園とは無縁の神奈川県のとある公立高校の練習を見学させていただいたことがある。
「まぁ、公立校はこんなレベルだよね」程度の練習を思い描いていたのだが、なかなかどうして練習の質が高くて驚かされた。
この公立高校の練習は、科学的根拠や客観的データに基づいた合理性があり、その練習の狙いや意図も部員たちに噛み砕いた上で行われていた。
大分の名門高校野球部を2ケ月で退部し、西武源田の先輩になり損ねた店主(私)は、
「1000回バットを振れ!1000本ノックを受けろ!100本ダッシュしろ!」
という「ザ・昭和」な練習しか経験したことがない。
そんな私にはこの公立高校の練習が「最先端の練習」に見えた。
監督さんと話す機会があり、練習内容のレベルが高いことに驚いたと伝えると、こんな言葉が返って来た。
「神奈川から甲子園を目指すということは、横浜や東海大相模を倒さなきゃいけないってことですよ? 同じことやってても勝てないじゃないですか」
「日本一の激戦区」と言われる神奈川から甲子園を目指すということは、そういうことなのだ。
横浜、東海大相模だけではない。神奈川には松井裕樹(現楽天)が甲子園で鮮烈な活躍を見せて一躍全国にその名を轟かせた桐光学園、この春の選抜にも出場した慶応もいる。平塚学園、日大藤沢、鎌倉学園、横浜隼人、日大、横浜商大、向上なども虎視眈々と甲子園を狙っている。星槎国際湘南という新興チームも出て来た。
失礼ながら、どの高校も我が故郷大分県に学校を移転すればもっと簡単に甲子園に出られるのにと思わずにいられない。
著者の大利実さんはとあるサイトのインタビューでこんな事を話していた。
「古くは法政二高の田丸(仁)さんという監督が出てきて、その後に原貢さん(元東海大相模監督)、渡辺(元智/元横浜高校監督)さん、土屋(恵三郎/元桐蔭学園監督、現星槎国際湘南監督)さん……、誰かが一時代を築くとそれを倒そうとするまた誰かが出てきて、
大河ドラマみたいな感じで時代を遡っていくと、(監督として)弟子同士が戦うとか、ライバル関係があったりとか、そこに桶狭間の戦いのようなターニングポイントがあったりだとか。そういう歴史の積み重ねだと思いますね。」
神奈川の高校野球を大河ドラマに例えるとは言い得て妙だが、それこそが「日本一の激戦区」たる所以なのだろう。
そんな神奈川において、横浜、東海大相模を「二強」の座から引き摺り下ろし、新しい時代を築こうとする監督たちがいる。
そんな監督たちの、試行錯誤と決意表明が納められた一冊が『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』だ。
今年の夏、神奈川の覇者は交代するのだろうか?
だとすればどこの高校、監督なのか?
そんなことを想いながら『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』を読むのもまた面白い。
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