【感想】「夢の途中~星野仙一監督と41年」(3/20/20発売)

広報、運転手、コーチ、スカウトとして41年に渡り星野仙一に仕えた早川実氏が問わず語りで故人を振り返った一冊「夢の途中」を読みました。

晩年に「夢があと二つかなうとしたら何を望みますか?」と問うと、星野は「一つが明治大学の監督、もう一つが中日の監督だな」と答えたそうです。

すっかり阪神の人、楽天の人というイメージのまま天国へ旅立ってしまった感がありましたが、心の球団は中日だったんですね…それを知って溜飲を下げることができた中日ファンがここにいます。ちょっとグッときました。

・監督としてはじめて迎えた西武との日本シリーズ。1勝4敗で惨敗すると試合後にコーチ、スタッフに土下座して詫びた。
・「全国放送で高校生を投げさせられるか!」とデビュー戦でノーヒットノーランを達成することになる近藤真一の先発に星野は反対していた。
・荒木雅博は当初3、4位で指名予定だった。

などなど、早川さんが振り返るエピソードの数々には、小学2年の頃(山本昌が入団した年)から中日を応援している店主も初めて知る話がたくさんありました。

しかし、改めて側近の口から語られる星野仙一を知るにつけ、「大人になったジャイアン」「暴君」以外の言葉が見つかりません。
山本昌さんがバラエティ番組などで「こんな人いるんだぁ…と思った」と半分ネタのように語ることがありますが、ネタでもなんでもなく、本当に無茶苦茶な人だったようです。逮捕、告訴されることなく天寿を全うできたことが奇跡にさえ思えます。

しかし、そんな無茶苦茶な人でありながら、なぜ多くの野球ファンに愛されたのでしょうか? 
試合中に顔が変形するほど殴られた中村武志が「僕の財産です」と振り返るのはなぜなのでしょうか?

その答えがこの一冊の中にあるように思えました。
中日ファン、星野ファンにはぜひ読んでいただきたい一冊です。
(ちょっと誤字脱字が多いのが気になりましたが…)


最後に、本書には載っていない店主だけが知っている星野仙一の「ちょっといい話」を紹介したいと思います。

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今から10数年前、小学生だった店主の従兄弟が難病で長期入院していました。
あるとき、当時日本代表の監督を務めていた星野さんが来県し某市役所を表敬訪問しました。
市役所には従兄弟が所属する少年野球関係者が務めており、隙を見計らって星野さんに近づき、無理を承知で「入院している野球少年を励ましてほしい」と話したそうです。
すると星野さんは「どこや? 近いんか?」と二つ返事で快諾してくれ、多忙なスケジュールの中、その足で病院に向かい従兄弟を見舞ってくれたのです。
病室には報道陣はもちろん、お付きの方も、もちろん早川さんもいません。星野さん一人できてくれました。
病気を克服し、今では中学の教師になった従兄弟の家の玄関には今も病室で星野さんと一緒に撮ってもらった写真と「夢」と書かれたサイン色紙が飾られています。
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早川実、梅田香子他
MM Company
779円(Kindle)

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