今月の一冊!「レギュラーになれないきみへ」

2019年11月に読んだ野球本の中から特に面白かった1冊を紹介します!

(著者:元永知宏/出版社:岩波新書/価格:880円)

店主の感想

この本はもちろん面白いのですが、まず親書の帯にあることばが素晴らしいと思いました。

”ゴールは「いま」じゃない!”

今、レギュラーではない選手。
かつてレギュラーになれなかった選手。

彼らの目がこの本に止まり、この帯を見た時、きっと大きな勇気をもらえると思います。

本書では、中学時代にその名を轟かせながらも進学先の仙台育英でレギュラーになれず、その悔しさをバネに大学で奮起して育成契約で巨人軍に入団することができた松原聖弥など、全8名の「レギュラーではない選手(一人は選手ではなく主務ですが)」が登場します。

中でも店主の印象にもっとも深く残ったのは立教大でレギュラーになれなかった須田瞬海さんの章です。

え?

須田瞬海?

誰?

須田さんは高校時代は甲子園を目指して中心選手として活躍していました。しかし、一浪を経て入学した立教大学では最後まで「圧倒的な補欠」で終わっています。

一時は目標を見失いかけましたが、社会に出て同じ悔しさを繰り返さないために須田さんはレギュラーになれなかった現実と向き合いました。

「大学の体験を踏まえて、しっかりと反省し、社会人になったらそれを生かそうと思っていました。補欠として気づいたこと、レギュラーとの違いを意識しながら」

そして、その後の社会で活かせる様々な教訓に気づきました。

「本業が充実していないと、オフの時間が楽しくない」
「本当にやるべきことを全力でやる」
「地力のある人間は、相応の活躍の場所を与えれば、ものすごいことになる」

そして須田さんは、大学卒業後にサイバーエージェントに入社し、3年目の26歳という若さでグループ会社(現・株式会社Cyber Now)の代表取締役になるという、バリバリのビジネスマンなりました。

「大学に入ったときに、スタートダッシュの大切さを痛感していたので、内定者のうちから働かせてもらいました」
須田さんは大学時代に失敗した経験を見事に次のステージで活かすことができたのです。

ちなみに須田さんはエクセルも触れたことのない状態でIT企業に入り、初めは仕事についていくことにやっとだったそうです。
「最初の1年はまったく成果を出せず、他の同期に置いていかれました。でも、入社1年目は死ぬ気で働いて、2年目からは自分が働きやすい環境を手に入れることができました」

そして、今後の目標をこのように語ります。
「一度失敗した人間でも、頑張ればちゃんと上がっていける。そういう事例の最大化と、影響力を高めることを目標にしています」

高く飛び上がる時、人は一度大きく屈み込みます。
そう考えると、レギュラーになれなかった挫折や悔しさも、須田さんにとっては高く飛び上がるために必要なことだったのかもしれません。

レギュラーとして活躍した経験も、レギュラーになれなかった悔しい経験も、それをどう活かして生きていくかはその人次第ですね。

『レギュラーになれないきみへ』
いま、レギュラーになれない、なれなかった全ての人たちにぜひ読んでもらいたい一冊です。

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