高校野球継投論

2019年7月に読んだ野球本の中から特に面白かった1冊を紹介します!

(著者:大利実/出版社:竹書房/価格:1900円)

店主の感想

投手を代えて打たれれば「なぜ代えた!」と文句を言われ、代えずに打たれれば「なぜ代えなかった!」と文句を言われる。一発勝負の高校野球において「継投」とはとても重要で難しいもの。監督さんたちも大変です…

そこで「7月の一冊!」に選ばせていただいのが『高校野球継投論』(大利実著/竹書房)です。
「継投論」と聞くといかにも専門的で、実際に指揮をとる監督以外には関係のないことのように思われるかもしれません。しかし、この本では「継投論」を中心に置きつつも、強豪高監督たちの野球観、指導論にまで話が展開されており、一般の高校野球ファンにも楽しめる内容になっています。

店主が面白いと思ったのは、仙台育英の若き指揮官・須江航監督の章。投手だけでなく捕手も継投する「継捕」理論と実戦練習ではキャッチャーとインカムで会話しながら配球を学ばせるという話し。いずれも従来の高校野球では出てこなかった発想でとても興味深かったです。

また、株式会社DELTAの岡田友輔代表の「打順が回れば回るほど打者が有利になる」という話しも「なるほど!」と膝を打ちました。打者の目は慣れてくるし、配球の傾向も分かってくるし、ピッチャーも疲れてくるから打者が有利になるー。
言われてみれば当たり前の話なのですが、改めてデータを交えて解説されると説得力が違います。
「エースと心中!」という戦い方でいくのか? 打順の巡りと控え投手の力量を見極めながらどこで継投するか? そんなベンチワークにも注目して甲子園を見るのも面白いと思います。

*あと、本論とは逸れますが、巨人菅野が昨年、神奈川新聞紙上で東海大相模時代の監督の投手起用を批判していたのですが、本書ではそれを受けての門馬監督(東海大相模)の話も掲載されており、そちらもとても興味深くて面白かったです!

話を聞いている6人の現役監督のうち、4人がこの夏の甲子園に出場します。それぞれの目次タイトルを見るだけでも、この本の面白さが伝わると思いますので簡単に紹介させていただきます。

甲子園期間中にぜひ読んでみてください!

■山梨学院大:吉田洸二監督
・カウントの途中で見せる、必殺の継投策
・継投策に欠かせないサイドスローの存在
・ピッチャーに「まだいけるか?」と聞くのは厳禁

■創成館:稙田龍生監督
・ひとつの球種でふたつの握り方を用意する
・サイドスローは内野手から転向させる
・さまざまなメーカーのボールに慣れておく

■近江高校:多賀章仁監督
・登板が必ずあることで自覚と責任が芽生える
・先発投手の起用はキャッチャーの意見を尊重する
・二巡目、三巡目を抑えることで流れを呼び込む

■仙台育英:須江航監督
・インカム野球で配球の考え方を磨く
・出場選手が増えるほどチームの幸福度が上がる
・重視するデータはランナー一塁からの被進塁率

■健大高崎:青柳博文監督
・ひとりでも多くのピッチャーにチャンスを与えたい
・事前に継投の順番を必ず伝えておく
・高校からのサイド転向は極力避ける
・「打線」があるのなら「投線」もあるべき
・継投をすれば9イニングの配球を考える必要がなくなる

■東海大相模:門馬敬治監督
・教え子である巨人・菅野智之の本音から知ったこと
・最高と最悪をイメージして”想定内”で戦う

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