今月の1冊!「虹色球団」

2019年4月に読んだ野球本の中から特に面白かった1冊を紹介します!

虹色球団 日拓ホームフライヤーズの10カ月

(著者:長谷川晶一/出版社:柏書房/価格:1944円)

【店主の感想】

1973年、現在の北海道日本ハムファイターズの前身球団にあたる「日拓フライヤーズ」というチームがありました。存在したのはその1年だけ。ちなみにイチローが生まれた年ですね。

張本勲、大杉勝男、大下剛史、白仁天、高橋直樹、新美敏といった、プロ野球の「歴史上の人物」とでも言うべき錚々たる名前が並んだ、前身球団の東映フライヤーズを買収したのは、当時不動産業やレジャー産業で飛ぶ鳥を落とす勢いだった「日拓ホームズ」。かなりのイケイケ新興企業だったようで、強引なセールス手法がたびたび週刊誌などで叩かれていたといいます。現在で言えばホリエモンが球団を買収したようなものなのでしょうか? ちなみに「日拓ホームズ」を率いる社長の西村昭孝氏はタレントの神田うのの義理の父親にあたります。

かろうじて高橋直樹の現役を知るくらいなので、店主は日拓フライヤーズというチームをリアルタイムで見たことはもちろんありません。子どもの頃に読みふけった選手名鑑にたまに出てくる「昔あった球団」くらいの認知度でした。ですから、10ヶ月でチームが消滅してしまったことや七色のユニフォームを採用していたことはもちろん、どういったいきさつで球団を買収し、何がどうなって1年足らず球団を売却してしまったのかなど、今回初めて知ることができました。
そして、子どもながらに「張本も大杉も凄いバッターだった(らしい)のになんでトレードに出されたのか?」ずっと疑問だったのですが、本書を読んでその経緯、原因がよく分かりました。

当時の球団買収劇を知る関係者の多くが鬼籍には入ってしまっている現在、それでも前述のチームの中心選手たちをはじめ多くの関係者に丁寧に取材を行い、このように形にして残してくれた著者の長谷川晶一氏に感謝したい気持ちでいっぱいです。自分の知らない時代のプロ野球を、当時の風俗を、空気を追体験することができました。

これは、プロ野球の歴史を後世に残すとても貴重な一冊だと思います。

そう感じたのは店主だけにとどまりません。広島で取材を受けた日拓フライヤーズOBの大下剛史氏(てっきり広島の生え抜きOBかと思ってました)も本書の中で取材に訪れた長谷川氏にこのように話しています。

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「よう遠いところまで来てくれたの。野球界の昔話を、こうして後輩達に伝えることはワシらにはなかなかできん。あんたらがおらな、伝わらんのじゃけ。これ、大事なことなんよ。本当にありがとう。ありがとう……」
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こうなると俄然、長谷川氏の「消滅球団三部作」、『最弱球団 高橋ユニオンズ』『極貧球団 波乱の福岡ライオンズ』も読みたいところです。

ちなみに神田うのの義理の父で1年だけプロ野球球団のオーナーだった西村氏はご健在。80歳を超えた現在、元気に日拓の会長を務めているらしいです。それが一番びっくりしました。

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