「2018年野球書店大賞」決定!

「野球書店 勝手に2018野球本大賞!」

忖度なし! 「野球書店」店主が今年読んだ野球本の中で一番面白かった一冊を勝手に選定!
大賞1作、次点4作を勝手に発表いたします!

大賞受賞作

「止めたバットでツーベース」

著者:村瀬秀信
出版:双葉社
発行日:2018年11月11日

野球愛に満ちた著者と野球愛に満ちた取材対象者との化学反応。それに絶妙に振りかけられた村瀬秀信氏のユーモア。一言でいえば「面白い!」につきる。
全18章から構成された大作の舞台となったのはグラウンドはもちろん、時に過疎化の村であったり、お寺であったり、弁当屋であったり。登場人物もプロ野球選手であったり、甲子園常連校の有名監督であったり、プロ野球の応援団員であったり、芸術家であったり、伝説のライターであったり……
「野球」という題材の料理法の多用さは、店主が小さい頃に見てその後の人生の方向を決定づけた映画版『江本孟紀のプロ野球を10倍楽しく見る方法』(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/プロ野球を10倍楽しく見る方法)を彷彿させた。
2018年に読んだ野球本の中で、もっとも「この本は面白い!」と誰かに伝えたくなったので、「止めたバットでツーベース」を本年の野球本大賞に決定する。

副賞:FB広告出稿(野球書店が自腹で年末年始、FBに広告を出稿してこの本を広告します)


次点作品

「プロ野球を選ばなかった怪物たち」

著者:元永知宏
出版:イーストプレス
発行日:2018年11月19日

いわゆる「プロ入り拒否」をした大物アマチュア選手たちのその後の人生に迫った一冊。特に「ミスターアマチュア」と言われた杉浦正則氏の章が面白かった。アトランタオリンピック当時、オリンピックをステップにしてプロに進もうと考えている若手を「オリンピックで勝ちたいという思いがないやつは帰れ。11人になっても、10人になっても、戦うから」と一喝したエピソードには胸が熱くなった(怒らせたのは今岡(当時東洋大→阪神)、森中(当時東海大→横浜)あたりじゃないかと想像が膨らんだ)。
「プロ入りしなかった理由をあまり語りたがらない」と言われていた杉浦氏からこのような貴重な話を引き出した著者の「ライター力」も素晴らしい。

「真夏の球譜(上)」

著者:神奈川新聞運動部
出版:かもめ文庫
発行日:2018年8月27日

「真夏の球譜(下)」

著者:神奈川新聞運動部
出版:かもめ文庫
発行日:2018年7月30日

今年一番衝撃を受けた野球本。上巻は主に神奈川高校野球を戦ったプロ野球選手を「スーパースター編」「現役ヒーロー編」として高校当時の話を聞くという内容。下巻は神奈川の代表校に甲子園で立ちはだかった強豪高校の監督、有名選手たちへのインタビュー、そして神奈川の伝統校、監督、選手を当時の記事を交えて紹介していくという構成。それぞれ338頁、449頁という大作。
この本の何に衝撃を受けたかというと、現役選手たちの忖度のない高校野球批判にである。
「子どもには野球をやらせたくない」と言う菅野智之は高校野球の悪しき伝統を壊していくべきだと言い「見に来たくない人は来なくていい。収益が目的じゃないんだから」と述べる。メジャーリーグで活躍する田澤純一も高校当時を振り返り「根拠のないことはしたくない。無駄なことはしたくないということが高校時代(の反省)で身につきました」と日本の高校野球の練習を皮肉る。
読んでる方が「これ載せちゃって大丈夫なの?」と冷や汗が出てくる。「生まれ変わっても相模にきます!」と言っている大田泰示を例外にし、多くのプロ野球選手が神奈川で過ごした高校時代を批判的に振り返っている。
高校時代から彼らを追ってきた記者だから選手も心を開き素直に話しているように思えるが、掲載されても選手には何のメリットはない。それでも掲載したのは神奈川新聞運動部のジャーナリスト魂なのかもしれない。

「甲子園という病」

著者:氏原英明
出版:新潮書店
発行日:2018年8月20日

「甲子園はこうでなければならない」という呪縛。そんな呪縛に異議を唱えているのが「甲子園という病」だ。「高校野球が100年で積み上げてきた歴史は素晴らしいものだが、高校球児らしさは時代とともに変化していく」という著者の最後の言葉がこの本の全てを表現しているように思える。著者は具体的な事例を挙げながら問題点を指摘し、ときに高野連事務局長にも話をぶつけにいくなどして「これから100年の甲子園がどうあるべきか」を問うている。ただの甲子園批判本と捉えてこの本の前を素通りするのはもったいない。「甲子園はこうでなければならない」と思っている方こそ、この本を読んで見るべきだと思う。

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