野球書店推薦本「燃えよ左腕 江夏豊という人生」

「燃えよ左腕 江夏豊という人生」

■店主推薦本(9)

「燃えよ左腕 江夏豊という人生」

・著者:江夏豊/出版社:日本経済新聞出版社/価格:1728円

店主の感想

かなりマニアックな本のはずなのに、都心界隈の多くの本屋で長く平積みされている謎の本「燃えよ左腕ー江夏豊という人生ー」。

江夏豊っていまそんなに人気があるの!? 時代は江夏豊を求めているの!?
その理由が知りたくて購入して読んでみました。そこでこの本の人気(?)の理由がわかりました。日経新聞の人気コーナー「私の履歴書」で連載されていたんですね。ゆえに日経新聞を読んでいたお父さんたちに訴求するために多くの本屋で平積みされていたということのようです。腑に落ちました。

さて、一般的な江夏の伝説、武勇伝はプロ野球ファンの皆さんはご存知だと思いますので、ここでは今回店主が初めて知ったことを中心に、面白かったエピソードなどを簡単に紹介します。

持ち玉はストレートのみでプロ入り

プロ入りして流石にストレート1本では厳しいと思いカーブを投げ始めたらしいのですが、王貞治氏いわく「江夏のカーブは狙っても打てない。曲がらないから」とそのクオリティはひどかったようです。それでもほぼストレートだけで高卒1年目の投手が225奪三振って、どんだけすごいストレートだったんでしょうか?

金田正一への暴言

一応江夏もプロ入り後は上下関係をわきまえていたようですが、勝負では先輩も後輩もないという教えを守り、巨人戦の乱闘では大先輩の金田氏に詰め寄り、「何を若造!」と言われると「何をポンコツ!」と言い返したそうです。これは現在に例えると、清宮が松坂に「おいポンコツ!」と言うようなものじゃないでしょうか? ちょっとありえないですね(笑)。
ちなみにこの一件で金田さんに可愛がってもらえるようになったそうです

若き日の落合博満との麻雀

まだ落合が何者でもなかった頃、落合から江夏を麻雀に誘ったそうです。麻雀中、落合の手の内を次々と言い当てる江夏に「なんでわかるんですか」と驚く落合。
「わかるに決まっとるよ。お前の野球と同じことや。お前みたいな下手なバッターが、一球、一球追いかけてたら、丸見えやぞ」と説く江夏。落合はそこから何か得るものがあったのか、その翌年、三冠王に輝くのでした。

驚異的な個人記録

18年間の現役生活で829試合、3196イニングを投げて奪った三振は2987。もちろんこの記録もすごいのですが、この間防御率が3点を超えたのは3度だけ(ワーストは引退年の3.65)と言う安定感がまたすごい。

江夏豊通算記録

江夏豊通算記録

店主がプロ野球を見始めた頃は、ちょうど江夏のメジャーリーグ挑戦が話題になっている頃でした。ですので店主は江夏の全盛期を知りません。この本を読み、改めて記録を見返してみるととてつもない投手だったことが分かります。こんなすごい投手の全盛期を見てきたおじさまたちが羨ましいです!

最後に個人的にこの本で一番ぐっときた箇所も紹介させていただきます。一番ぐっときたのは言葉ではなく、1枚の写真でした。江夏の引退試合の写真です。

場所は多摩市の一本杉球場。引退試合といっても、そこは球界の一匹狼らしく、球団とは関係のないところで、有志たちが開いてくれた手作りの引退試合でした。この様子は当時ニュースで見た記憶があります。

引退試合で胴上げされる江夏豊

引退試合で胴上げされる江夏豊

胴上げされる江夏に手を伸ばしている背番号6の選手がいます。ロッテ時代の落合ですね。麻雀をしながら遠回しに投手心理を教えてもらったというエピソードからも分かるように、若き落合は江夏を慕っていたようです。この写真からは落合が抱いている江夏への恩義が伝わってくるようです。ちょっとぐっときてしましました(ちょっと妄想気味ですが)。

江夏の全盛期を全く知らない店主ですら楽しみながらあっという間に読んでしまいました。江夏の全盛期を知るおじさま達にも是非読んでいただきたい一冊です!

 

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
ページ上部へ戻る